酒と音楽の日々

酒と音楽が好きです。

酒と音楽の日々

"Return to Forever" Returns


9月29日(木)は東京国際フォーラムで、Return to Foreverを見た。


Return to Foreverは、
マイルス・デイヴィスがジャズにエレクトリックを導入して音楽界に衝撃を与えた
イン・ア・サイレント・ウェイやビッチェズ・ブリューといったアルバムで、
ピアノ(エレクトリック)を弾いて(弾かされて?)からビッグネームとなっていくチック・コリアが、
当時スタン・ゲッツのバンドのベーシストだったスタンリー・クラークらとともに作ったバンド。
後に、同じくマイルスのアルバムに参加したドラマーのレニー・ホワイトが加入する。
メンバーチェンジを繰り返しているが、歴代、超有名・超テクニシャンのミュージシャンが所属した。


ラテン系の曲調が多く、マハヴィシュヌ・オーケストラウェザー・リポートなどと比べて、
あまり好きな方ではなかったのだが、この日に備えて何度も聴いていたせいか、
ラテン系自体が次第に心地よく感じてきた。
==============================================================================================================


今回のメンバーは、上記3名のオリジナル・メンバーに加えて、
フランク・ギャンバレというギタリスト、ジャン・リュック・ポンティというバイオリニストの5名。


フランク・ギャンバレはチック・コリア・エレクトリック・バンドに参加していた、スウィープ・ピッキングの名手。
スウィープ(掃く)ということで、一回のアップあるいはダウンピッキングで、隣接する2弦を弾く。


ジャン=リュック・ポンティは、フランスのジャズ・バイオリニストで、マハヴィシュヌ・オーケストラに参加して有名に。
フランク・ザッパとも演っているよう。
なんとこの日、誕生日とのことで、みんなでハッピバースディを合唱した。
==============================================================================================================


さてさて、5人の登場では、何と1階席中間にある入口から客席内通路を通って握手しながらステージに上がるという、
早くも離れ業を見せてもらえた。きっと、客層がそれなりの年齢層だからできることだろう。
チック・コリアは1941年生まれということだから70歳。70歳くらいのお客さんには逢わなかったが。


1曲目は予想通り、最大ヒット作「Romantic Warrior」(浪漫の騎士)からMedieval Overture。
発表時のメンバーは、チック、スタンリー、レニーにギタリストのアル・ディ・メオラを加えた編成。
この曲は、途中のMCで言っていた、ジャズですか?ロックですか?スペース・ミュージックなんですって感じの代表選手。
エレクトリック・ジャズの黎明からの流れということからなのか何なのか、
オリジナル曲もキーボードの音質がわざとらしくてあまり好きではないのだが(逆に好きな人は好きだろうが)、
曲全体は、もの凄く複雑で、細かいキメが多く、あわせるのは相当難しそうなのだが、
やはりスーパー・テクニシャンたち、軽々とこなしているという感動。
チック・コリアに至っては、緊張感というより、終始リラックスした雰囲気。
デニムの上下ってのは野良仕事ってことか?


2曲目は、「Hymn Of The Seventh Galaxy」(第7銀河の讃歌)から(Captain)Señor Mouse。
発表時のメンバーは、3名+ビル・コナーズ(g)。
オリジナルよりもヘヴィーで、スタンリー・クラークは右の親指を立て始めた。
チョッパー(スラップ)のサムピングというより、むしろ、プルが強くて、バッキンバッキン。
(2日たって記憶が薄れてきているが、確かこの曲だったよな)。
ちなみに、ギターは、サスティンが短くてパワーがあるような図太い音で正確さが求められる、
もちろん正確に弾いてます、むしろ精密に弾いてますって感じがした。


3曲目は、「Romantic Warrior」のSorceressから、「Where Have I Known You Before」(銀河の輝映)のShadow of Loへ。
銀河の輝映は、浪漫の騎士の前のアルバムだが、同じメンバー。ここからメオラが加わっている。
どうでも良い話だが、Shadow of Loは、私のiPodの”Mellow”というプレイリストにも収まっている美しい曲。
全くどうでも良い話だが、1つ前の曲はウェザー・リポートのA Remark You Madeで、1つ後ろの曲はアル・ディ・メオラ
Silent Story in Her Eyesである。
で、アコースティック・ピアノとアコースティック・バイオリンによる美しすぎる演奏を聴けた。
青いバイオリンはエレクトリック、ブラウンのがアコーステックだと思うが、音色が全然違い、粘っこい感じが曲調と見事にフィット。


4曲目は、Renaissanceというジャン・リュック・ポンティの曲らしい。
知らなかった。驚くことに今回の目玉だった。スタンリー・クラークにやられた。
アコースティック・バイオリン、ウッド・ベース、アコースティック・ギターのトリオは、
後から調べたらジャン、スタンリー、メオラでやっているようだ。チックとレニーがいたかどうか、もう覚えていない。
出だしはゆったりとした曲調の中、コントラバスだ。そもそも、ウッド・ベースもコントラバスも同じものだ。弓で弾いたということだ。
だがしかし、それだけでは驚かない。中盤のソロでは、左指は指盤を上から抑える形で高域側でゴニョゴニョしながら、右指も超高速。
だがしかし、それだけでは驚かない。また、右の親指を立てやがった。ウッド・ベースでだ。パカパカだ。
そろそろ驚いていたが、さらに、右手と左手を逆転させやがった。ネックやヘッドを叩き始めた。パカパカパカだ。
もう、打楽器だ。ウッド・ベースとは打楽器だったのだ。
Return to Foreverはどこに行った?


5曲目は、「Hymn Of The Seventh Galaxy」のAfter the Cosmic Rain。
元気な曲だが、どうだったけな。あんまり覚えていない。


6曲目は、Romantic Warrior。
ミディアム・テンポの大人っぽい曲だが、どうだったけな。あんまり覚えていない。


7曲目は、「Light as a Feather」から定番のSpain。ここでやっと正気を取り戻した。
ちなみに、私のiPodにあるリミックス盤は、Spainが違うアレンジで3曲も入っている。
さて、イントロに使われているアランフエス協奏曲の第2楽章(アダージョ)を、ジャン・リュック・ポンティのバイオリンで。
これは決まるだろう。決まってしまうだろう。ちょっと臭いかな。
本編に入って、みんなラテンのリズムに合わせて手拍子していると、いい気になったのか、
チック・コリアがピアノとの掛け合いを要求してきた。
簡単だったから良かったものの、とんでもないのを要求されたら。。。。。
拍手は鳴りやまないまま、アンコールへ。


アンコールは、School Daysというスタンリークラークの有名な曲。ロックっぽくて乗りやすい。
さらに、スタンリーから立て立てと催促されたため、みんな立つことに。


久々なコンサートであり、ジェフ・べック以外のフュージョン系を見るのは初めてということもあり、
また、チケットを購入した頃から、通勤途中に曲を聴いて耳の準備を重ねていたこともあり、
結構興奮したイベントだった。